横浜を舞台とした現代アートの祭典もとうとう明日で閉幕です。
11月3日の天気予報は晴れ。
絶好のカメラ日和で、
普段撮らない被写体にカメラを向けるチャンスでもあります。
ここでは、芸術祭の紹介は程々に、
現代アートを撮影する上での簡単なアドバイスをさせて頂きます。
/スグル
【ヨコハマトリエンナーレ2014】
ヨコハマトリエンナーレは3年に1度開催される横浜を舞台とする芸術祭です。今年で5回を数えます。
ジャンルは現代アートで、基本、知識など何もいりません。なんとなく眺めて、思うことがあればそれで十分です。
横浜美術館と新港ピアを主会場としつつも、横浜市内各地で開催されています。
開催期間は2014年8月1日から11月3日までで、作品展示の他にも各種イベントが開催されました。明日の閉幕の際には、消滅のためのラストショー「Moe Nai Ko To Baを燃やす」が開催されます。
こちらは足です。展示作品ではありません。なんとなく撮りました。アートのおかげでしょうか、いつも以上にカメラを使いたくなるのも芸術祭の特徴です。
【現代アートを撮影する上でのアドバイス】
撮影アドバイスとは書くものの、アートから感じることは人によって千差万別であり、撮影方法も同じように千差万別であるべきです。とはいえ、一つの手法を試すことが「フルオート」頼りの卒業につながり、自身の表現方法を見出すきっかけになるかもしれません。
そこで、簡単なアドバイスを3点、提供させて頂こうと思います。
1)露出補正は「マイナス」が吉
フルオートで撮影した場合、基本的にはフツーの明るさで写真が仕上がります。記録写真としてはそれでいいのですが、現代アートの場合、若干重たい雰囲気を持つことが多めですし、是非にその重さを表現したいところです。
そこでオススメなのが「露出補正」の「マイナス」。すなわち、「暗めに撮る」ことで、重さを表現します。
方法は2つ。
1つは、「スペシャルエフェクトモード」中の「ローキー」を使う方法です。設定をすると、結構暗めに写り重い雰囲気が漂います。ただし、暗さの加減を調整することはできません。
もう一つは、「P(プログラムオート)」か「A(絞り優先モード)」かに設定し、露出補正ボタン(+/-とプリントされたボタン)でマイナスに操作する方法です。こちらの場合、暗さの加減を調整することができます。補正値は、-0.7EVくらいからはじめるのがいいでしょう。撮影画像を確認後、好みに応じて調整してください。
サイモン・スターリング「鷹の井戸(グレースケール)」。横浜美術館に展示されています。
アリギエロ・ボエッティ。@横浜美術館
木村浩「言葉」。@横浜美術館
「法と星座 -Turn Coat/Turn Court」。@横浜美術館
@横浜美術館
「露出補正のマイナス」、こういった感じです。なお、時にはプラスがいい時も当然あります。
福岡道雄「飛ばねばよかった」。@横浜美術館
こちらは、露出をプラス補正しなければかなり暗く写ってしまう作品です。
ヨコハマ創造都市センター(YCC)の建屋内です。プラス補正が良でしょう。
青山悟の作品。絵画に見えますが、刺繍です。@ヨコハマ創造都市センター
なんとなく撮りました。@BankART Studio NYK
以上が露出補正の例です。今回のアドバイスはマイナスが基本ですが、気持ちに応じてプラスにも補正してみてください。
2)絞れ(ぼかして撮らない)
アーティストは作品を生み出す際、細部にまで神経を行き渡らせます。その作品に対し、ぼかしてごまかす写真はあまり合いません。適度に絞って撮りましょう。
「絞る」とはレンズにある「f値」をあげる(f2.8→f4.0→f5.6→f8.0といった感じ)ことであり、効果は、「ピントが前から奥まで合う」ことです。これで、細部にまで神経を行き渡らせる事ができます。
ただし、「絞る」ということは「レンズを抜ける光が減る」ということであり、シャッター速度が遅くなってしまうという副作用があります。手ブレなどに注意してください。
設定方法は、「A(絞り優先モード)」に変更した上でダイヤルを回します。設定値は「f8.0」を基本値として、場面場面で増減させてください。
アンネッケ&スペンサー。@BankART Studio NYK
朝倉摂(あさくらせつ)。@BankART Studio NYK
「国境の家」。@BankART Studio NYK
「大野一雄フェスティバルアーカイブ2004-2013」。@BankART Studio NYK
3)感度は高めに
前述のアドバイス「絞れ」を適応した際、副作用として「レンズを抜ける光が減る」という副作用があることをお話ししました。その場合、シャッター速度が遅くなり、手ブレや被写体ブレが目立つようになります。その対処として、「感度を高めに設定する」ことをオススメします。
感度を高めに設定した場合、副作用として「画像にノイズが載る」などの問題が起こりますが、手ブレのほうがはるかに大きな失敗と映ります。ノイズは気にせず、感度を高めてください。
感度を高めるためには、「P(プログラムオート)」か「A(絞り優先モード)」に設定を変更し、「ISO」の項目の数値を上げていきます。
数値は、ISO1600を初期値として、暗さに応じて増減させてください。
川俣正「kawamata Hall」と高橋啓祐(たかはしけいすけ)の映像インスタレーション。@BankART Studio NYK
こちらの作品はかなり暗い空間に設置されたものであり、撮影が大変厳しい作品です。暗いのでピントを合わせるのも一苦労です。通常のカメラにセットのレンズを使う際にはISO3200以上が必要となります。ノイズなんて気にしないでください。
作品ではありません。なんとなく気になりました。@BankART Studio NYK
@BankART Studio NYK
こちらは感度を下げて撮影していますが、こういったあやしさを持った写真の場合は、感度を高めてわざとノイズを載せるというのも一つの表現方法です。
@BankART Studio NYK
@黄金町。当然作品ではありません。
以上、現代アートを撮るにあたっての3つのアドバイスでした。
【ヨコハマトリエンナーレ2014】
【会場】
・横浜美術館
・新港ピア
・その他
【開催期間】
・2014年8月1日~11月3日
※詳細は、ヨコハマトリエンナーレ公式Webサイトでご覧ください
今回は視点がはっきりして面白いね! こういうアプローチはここにとまらず、色々なところで使えそうですね。そのうち宮彫りの撮り方を教えてください。
返信削除ありがとうございます!「たびねす」で記事を書き始めたことで、こういった書き方もアリだなと気付くに至りました。またお話しできる時を楽しみにしてますね。
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