2013年7月12日

【ArtFM 黒壁美術館(閉館間近の為、特別の再アップ)(滋賀県長浜市)】

城下町、長浜駅近くに位置する黒壁美術館。
私は2012年11月に訪問しました。

日本で最も古い建屋を持つ美術館で、
味わい深い建屋と、数々の魅力的なガラス作品、
そして、屏風のような庭の眺めが、
至福の時間を提供してくれます。

が、2013年7月21日(日)17:00、
閉館することとなってしまいました。
職員さんからのご連絡によると、
その江戸時代末期の建屋の老朽化が理由だそうです。

Webサイト上は休館となっていますが、
いずれであれお気に入りの現状に再会する可能性は薄く、
大変に大変に残念に思っております。
ご都合がよろしければ、是非にご訪問下さい。

/スグル


【以下、前回のレポートの再現です。】


滋賀県長浜市の黒壁美術館へ行った。

戦国の世の城下町に位置する当館、
築160年、美術館として日本最古の建屋を持つ。

展示は主にガラス器・陶器で、
ガレから切子、紅志野と幅広い。

次々現れる魅惑の作品にかじりつきつつ、
部屋それぞれの窓が生け取る景色に悶絶した。

/アートツアラースグル
 当館の所蔵品はガラス器・陶器などで、それぞれに大変な魅力があります。加えて、当館には築160年の建屋の魅力と、窓が生け取る景色の魅力があります。他に訪れていた方々は、紅葉を多少見るものの窓を眺めることはせず作品だけを眺めていましたが、これほど見事な景色、逃す手はありません。大きな美術館ではないので作品を見るだけなら所要時間30分~1時間といったところですが、私は3時間半も過ごしてしまいました。それほどの景色です。

 黒壁美術館です。築160年の江戸後期の建物で、日本の美術館中、最古の建屋です。職員さんに伺ったところ、現在の運営母体は第3セクターの株式会社ですが、30年前まで醤油の製造販売が行われていた場所との事でした。

 当館の建屋には多くの部屋があり、それぞれに窓があります。眺める風景はどれもこれも逸品です。部屋を移るたび、身体が仰け反るほどの感動を得ていました。

 土間からちょっと外を眺めると・・これまたいい感じです。



 展示室のひとつ、蔵の中です。

 蔵の前に置かれていました。



 鈴木靖将(すずきやすまさ)さんの襖絵です。
 近江の悲しいような酷いような伝説、「比良八荒(ひらはっこう)」が描かれています。職員さんに伺ったところ、約20年前のオープニングパーティーの席で、鈴木靖将さんが約2時間で描いたものだそうです。ちなみに、鈴木靖将さんは日本画家 三橋節子さんの旦那様です。

 展示の中心はガラス器と陶器です。ガラス器は、アール・ヌーヴォー、アール・デコはもちろん、切子まで展示されています。ちなみにこちらの作品はヨハン・レッツ・ヴィトゥヴェのテーブルランプスタンドです。お恥ずかしくも存じあげない方でしたが、大変怪しく魅力的な作品でした。

 J&L. ロブマイヤー「エナメル彩装飾皿」です。Wikipediaによると、J&L. ロブマイヤーは1823年創業の現存する企業だそうです。

 J&L.ロブマイヤー「インド風花器」です。和の席でも凄く映えそうですよね。

 「ヒストリスム豪華ポカール」の一部です。
 ん?それってなに?という名前ですが、私の大好きな称徳天皇・道鏡の百万塔陀羅尼に似ているなぁと思い、載せてみました。百万塔、そして称徳天皇・道鏡については、リンク先のコメント欄をご覧下さい。

 切子も展示されています。

 (おそらく)本間友幸「紅志野茶盌」です。この建屋のこの雰囲気で眺める、別素材を思わせる造形の紅志野。至福です。

 本間友幸「紅志野しのぎ水指」です。お茶を始めたいなぁと思わされます。見る楽しさに、用の美を加えたいものです。

 本間友幸さんの薔薇貫入の作品です。驚いた事に、本当に薔薇が咲いているかのような貫入があります。初めて拝見しました。どうやってこの貫入を生み出しているのでしょう??使い込んでいくとどう育つのかも興味がわきました。

 薔薇貫入の拡大です。写真では少々分かりにくいのですが、確かに薔薇が咲いています。

 野村陽子「ミズバショウ」です。展示の主はガラス器・陶器ながら、ところどころに野村陽子さんの植物画(ボタニカルアートといいます)が展示されています。

 野村陽子「ホオヅキ」です。

〒526-0059
・滋賀県長浜市元浜町11-23 【map】
・TEL: 0749-62-6364
【開館時間】
・10:00~17:00(入館は16:30まで)
【休館日】
※基本的には無休のようですが、企画展次第のようです。詳しくは電話で問い合わせ下さい。
【入館料】
・600円(大人)
・JR北陸本線 長浜駅より徒歩7分
※実際歩いてそんなところ(徒歩10分以内)です。観光地なので魅力的なお店が多々あり、少々歩みは遅くなってしまいます。

2 件のコメント:

  1. 大阪府豊中市在住のTです。たまたま、一日前に行こうと思い、出向きました。今週末で、閉館されると聞き、その前に、行く事ができ、ある意味、ラッキーだったとおもうと同時に、もー拝見できなくなるなんて 本当に残念です、何故なら、一番感動したのが、黒壁美術館だったからです、平日ともあって、人が全然いなくて、私独り占めの空間で、落ち着いて拝見することができ、良かったです、ありがとうございました。。

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  2. メッセージを戴き、ありがとうございます。
    美術館の最後の姿をご覧になったとのこと、羨ましいかぎりです。私は8月の第2週に再訪しようと考えていたのですが、叶わないこととなりました。
    レポート中に閉館・休館の記載について触れましたが、職員さんにあらためてご連絡をさせて頂いたところ、やはり閉館のようです。建屋は残りますが、美術館ではなくなります。
    美術館としての姿は明日までです。私も昨秋の感動を胸に、美術館へ感謝の心を送りたいと思います。

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