山形県酒田市の本間美術館へ行った。
その新館編。
美術品の展示館である当館には、
吹く面白さを持つ西郷隆盛・徳川斉昭の実に特徴的な書や、
称徳天皇・道鏡好きにはたまらぬ百万塔陀羅尼など、
うれしい品が幾つもある。
特に若冲「布袋図」。
富士の様な構図に、
多様な線、
そしてユーモアあふれる姿・顔。
楽しき墨絵の極みを感じた。
/スグル
(伊藤若冲の布袋図です。
※当画像はネットより拝借)
(私の心をあつくする、百万塔陀羅尼です。
理由は、長くなるのでコメント欄にて。
※当画像はネットより拝借)
※当画像はネットより拝借)
歴史に少しでも覚えがある方には異様に思える投稿内容について、説明を少々加えます。
返信削除「称徳天皇・道鏡好き」、これはおそらく普通ではないでしょう。”女”であった天皇と、”男”として法王となり政治の実権を握った道鏡(奥日光では金精大明神として道鏡の男根が祀られています。http://artsformen.blogspot.jp/2012/03/artfm_16.html)。平安時代が坊さん排除から始まった理由の一つでもあり、悪者イメージが付きまとう方々です。
が、私は彼らに愛しさを感じてしまいます。
その理由は、里中満智子さんの「女帝の手記」です。あの時代を描いた歴史漫画で、称徳天皇は「堅くて一途」、道鏡は「素直・純真」として描かれています。
別に私は、その歴史観を私の歴史観と完全に一致させているわけではありません。が、一つの捉え方として大変面白いと感じていると共に、悪役として学んだ歴史上の人物にも当然人間味があるという事の発見の喜びがあり、その喜びと悪役-人間味のギャップとが転じて愛しさになりました。
その彼らの心が生み出した百万塔陀羅尼。百万塔を見ていると、彼らを思い出し、彼らに感じる愛しさがそのまま反映されます。
(ちなみに、里中満智子さんは彼らの書の筆跡から性格を導き出しました。道鏡の書に「素直さ」、称徳天皇の書に「堅くて一本筋(色恋で政治を忘れはしない)」を感じたそうです。私が美術館で書を拝見するときに、知識からではなくその人を思う事がありますが、その楽しみ方は里中満智子さんより頂きました。ちなみに、本間美術館は戦国武将を始めとした書を多数所蔵しています。http://artsformen.blogspot.jp/2012/09/artfmplay-glass.html)
百万塔に限らず、美術品には、後世に伝えられるだけの理由があります。もちろん希少性や学問的価値、美しさなどが主ではありますが、物語が込められているという事も1つにあります。理屈は感動に繋がりにくいのですが、物語は心に直結します。美術品に物語を見出すのも大変楽しいですよ。
私の心にある百万塔の周辺で起こった物語は真実であるかどうかは分かりませんが、その物語によって心が開き、良さを逃さず受け止めようとする姿勢を得た事は、私の財産であり、人生の楽しみにもつながっています。
人生を語るには事が小さいかもしれませんが、これも百万塔陀羅尼のご利益と捉え、満足した人生とは何か、追い求めていくとします。
以上、称徳天皇と道鏡の愛に涙する、スグルがお送りしました。