最愛の洋画家、ルオーを専門とする当館、
この時ばかりは松下が神に思える。
今回は特別展「モローとルオー」で、
師弟の作品がズラリと並ぶ。
画家モローが生み出す宝石のような色と、
ルオーの個性を伸ばした師モローの力に、
感涙寸前の師弟愛を感じた。
※特別展「モローとルオー」は12月10日まで。
/スグル
今回の1枚目はパナソニック東京汐留ビルです。下層階がショールームとなっており、その上層の4階にパナソニック汐留ミュージアムは位置します。
アート色にしか見えない私ですが、肩書的には中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格)ですので、少しだけビジネスな話しも盛り込んでおきます。
パナソニックと名のつく当ビルは、元々パナソニックのもの(正しく言えば松下電工のもの)です。が、現在はファンド(投資会社)のものとなっています。財務改善を目的としたもので、今年2013年の3月に売却されました。以降はパナソニックがファンドに家賃を払うという形で継続して利用しています。
一般的には美術館の運営は利益を生み出す事が難しく、企業系の美術館も、多くは企業の社会貢献活動の一環として運営されています。当館についても、楽ではない状況下で素敵な作品に触れる機会を作ってくれているという事です。私達は企業に対してありがとうの気持ちをもって作品を拝見せねばなりません。
この画像については写真の話しです。元画像はもっともっと明暗が強いのですが、アップすると暗部が全て明るくなってしまいました。なぜに??どうすれば元画像に近づくのか模索中です。
ビル内です。
パナソニック東京汐留ビルの4階、パナソニック汐留ミュージアムのフロアです。右下の柱の奥が美術館となっています。
分かりにくいのですが、画面の左側のガラスで囲われた場所が美術館(ショップ)です。
ギュスターヴ・モロー「《サロメ》のための習作」(※当画像はネットより拝借)。
私が相当に好きなモローの作品です。私の最愛の洋画家ルオーの師匠にあたります。この展覧会が始まる何年も前から、「教育やモチベーションのレポートをもし書くことになったら、モローとルオーの師弟関係について取り上げる!」と言っていたほど、すんばらしい師弟です。特にこのモローの師としての能力が素晴らしく、ルオー、マティス、マルケなど、個性がまるで違う名立たる画家を輩出しました。押し付けるのではなく、個性を伸ばす。どこぞのバカ上司どもに教えてあげたいお話しですよね。
ところでこの作品は、フランスの国立のモロー美術館の所蔵品です。代表作「出現」などに描かれた「サロメ(洗礼者ヨハネの首を求めた女の子)」の横顔アップ版で、磁器のような白い肌、鮮やかでもないのに宝石のような色、カミソリのような美しさ、張り詰めた空気、などがあります。怖いながらもその美しさをMっ気たっぷりに眺めてしまいました。
通常のレポートでは、当該美術館の所蔵品ではないものについてはあまり触れないのですが、大好きなモローと最愛のルオーのことですので、少し多めにお話しをするとします。こちらは、ギュスターヴ・モロー「バルクと死の天使」です(※当画像はネットより拝借)。
「こ、こえぇよ」。恐怖を感じました。タッチは荒く、宝石の色彩はドロドロと溶けています。"死の天使"ぶりが凄まじいものです。モローの作品は荒くとも緻密な作品が多いので、はじめて見たタッチという意味でも驚きました。
こちらは、当館の所蔵でもなければ、今回の展示品でもない作品です。ギュスターヴ・モロー「化粧」。大好きなモローの作品の中で私が最も好きな作品です(※当画像はネットより拝借)。東京八重洲のブリジストン美術館が所蔵しています。
色がすごく、鮮やかでもないのに宝石のように光り輝いています。「色が喜ぶ」という感じです。 毎日でも拝見したいのですが、水彩画で傷みやすいので、ごくまれにしか展示されません。私の鑑賞は一度。この画像だけでは伝えきれない色気と色の魅力がそこにありました。
パナソニック汐留ミュージアムの所蔵品を一品紹介します。ジョルジュ・ルオー「キリスト」です(※当画像はネットより拝借)。
毎度のことながら、命というか人そのものを埋め込んだように感じます。この強烈な個性を生み出したのが、上に挙げた3品を描いた師モローでした。この作品のフォーブなタッチはモロー存命中の画風ではありませんが、この画風を生み出す下地となる個性を伸ばしてくれた師とは言えると思います。
ところで、レポート中に「松下が神に思える。」と書きました。文字数の関係で短い表現にしましたが、少し詳しく表現すると、「松下電工の中興の祖、三好俊夫(みよしとしお)が神に思える」が正しいものです。収集した作品数は約230点。感謝感謝です。
余談ですが、仙台のカメイ美術館(旧 カメイ記念展示館)などもそうなのですが、ルオー好み(フォーブ好み)は中興の祖が多いように思います。
ジョルジュ・ルオー「クマエの巫女」です(※当画像はネットより拝借)。
クマエのシビュラの横顔が描かれています。ルオーにしては珍しく、すごく優しく、すごく慈悲深く、すごく安らかで苦しくない作品です。雰囲気としては日本の観音さまを感じます。日本の影響があるのかどうかは知りません。
今回の展覧会の展示作品は、当館・パリのモロー美術館・個人が主な所蔵先でしたが、ルオーの作品は日本全国の公立美術館・私立美術館で見ることができます。先に挙げたブリジストン美術館もその一館です。特に、山梨県の清春芸術村(清春白樺美術館)や、長野県のハーモ美術館は、ルオーを多く所蔵しています。
さて交通手段です。こちらはデジタルな印象の駅、都営大江戸線の汐留駅です。
汐留駅からパナソニック東京汐留ビルまでの間にはこのような通路があります。
パナソニック東京汐留ビルと汐留駅の間にある、汐留シティセンターです。なんだかかっこええなぁと思い、数枚撮ってみました。
よくよく行く新宿でも思うのですが、ビル群を見る度に東京ってごっつなぁと思わされます。
当ブログへのアップ作業を行った結果、なぜか写真の明暗が全くなくなってしまいました。元画像はけっこう暗いんですけどね。なぜだか分かりません。
【パナソニック汐留ミュージアム】
〒105-8301
・東京都港区1丁目5−1 パナソニック東京汐留ビル4F 【map】
・TEL:03-5777-8600
【開館時間】
・10:00~18:00(入館は17:30まで)
※政府からの節電要請などにより変更する場合あり
※ショウルーム定休日や17時以降の入場方法についてはWebサイトを確認下さい
【休館日】
・水曜日(祝・祭日は開館)
・展示替期間
・年末年始
【観覧料】
・展覧会により異なる
【割引券】
・100円割引
【アクセス】
・JR新橋駅「烏森口」「汐留口」「銀座口」より徒歩約8分
・東京メトロ銀座線新橋駅「2番出口」より徒歩約6分
・都営浅草線新橋駅改札より徒歩約6分
・都営大江戸線汐留駅「3・4番出口」より徒歩約5分
・ゆりかもめ新橋駅より徒歩約6分
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