2013年5月7日

【ArtFM マスプロ美術館(愛知県日進市)】

愛知県日進市のマスプロ美術館へ行った。

工場の様で少々入り辛い当館、
敷地内の新本社ビル2階に位置する。

フロアの一部は社史ながら、
美術品が多くを占める。

展示は陶磁器と浮世絵。

名所や事件を示す地方絵に写真の手本を見出しつつも、
やはり当館の宝、茶碗「鎹(馬蝗絆)」の魅力に
果てしない所有欲が吹き出した。

/スグル
 マスプロ美術館の入る、新本社ビル(2002年竣工)です。2階が美術館となっています。
 1階で受付を済まし2階にあがると、まず小さな展示室が現れます。これで終わりか・・と思ったら、奥に多くの美術品(特に浮世絵・地方絵)が待ち構えていました。

 2階の多くは美術品の展示スペースで、一部がマスプロミュージアム(社史)となっています。
 このミュージアムの天井に設置されたスピーカーが少々面白いものです。パラボラアンテナを利用したスピーカーでして、指向性が強い上に、床と天井との間で反射が起こるため、距離によって聞こえる方向が変わります。理系の方は是非にお楽しみ下さい。

 バスを降りるとこんな風景に出会います。マスプロ本社の敷地の入口です。
 完全に工場色ですよね。門の柱にロダンが設置されているので、辛うじて一般人(美術ファン)も入ることができるという感じでした。

 今回の目的の品はこちら。青磁輪花茶碗「鎹(馬蝗絆)」(せいじりんかちゃわん「かすがい(ばこうはん)」)です(※当画像はネットより拝借)。
 12世紀 南宋の品で、平重盛→足利将軍家→織田有楽斎の孫という流れを組みます。(不確かですが)室町時代、天文年間の名物記「清玩名物記(せいがんめいぶつき)」にも記されている品だそうです。とにかく名物であることは間違いありません。
 私にとってのこの器の魅力は、「限りない器量と気品の高き漢(おとこ)の器」(私個人の感想です)といったところにあります。
 まずはその口。なんでも受け止めるような広い口を持ちます。とてつもなく大きい器量を表しているかのようです。次に青磁の色と花の様な口縁部。感じるのは気品です。そして最大の特徴であるカスガイによる継ぎ。戦場で受けた傷ですよね。勲章だと思います。漢以外に感じるものがありません。
 私は茶道の心得はないのですが、なぜか焼物が大好きで、茶道関連の美術館にもよく足を運びます。当然、大名物にも出会うわけで、いつも見とれてしまいます。が、その多くはいつまでも眺めていたいという感じのものでした。対してこの茶碗は違います。いつまでも眺めていたいし、限りなく欲しいのです。あまりのカッコ良さとその所有欲に、気付けば30分位上眺めてしまっていました。

 赤志野 四つ目垣門絵花碗 「銘 夕陽(せきよう)」です(※当画像はネットより拝借)。この景色はまさに夕陽で、田舎の風景がそのまま見えてきます。懐かしさと暖かさ、そして少々の寂しさといった感情を思い起こしました。

 探景(たんけい)「磐梯山噴火の図(ばんだいさんふんかのず)」です(※当画像はネットより拝借)。
 レポートの通り、当館の展示の半分は陶磁器で、半分は浮世絵です。その浮世絵のいくらかは、歌麿の美人画など"浮世絵らしい"ものなのですが、多くは地方絵が占めています。その地方絵とは、名所、歴史、事件などを記している浮世絵です。
 浮世絵といえば、美人画、武者絵、風景画などを思い浮かべるでしょう。私もそれを想像していたため、はじめは地方絵ばかりの展示に、え?と思いました。が、これがなかなかにして興味深いものです。画面に詰め込まれたその時の様子が臨場感たっぷりに迫りますし、構図は写真に生かせます。災害の様子についても、今も活用すべき情報が多く含まれているのではないかと思いました。

 「岐阜市街大地震之図」です(※当画像はネットより拝借)。画面全体の右上への流れを感じる中、各種被害がしっかり描きこまれていました。

 歌川貞秀(さだひで)「大日本富士山絶頂之図」です(※当画像はネットより拝借)。
 ザ・誇張。私も過去に富士山のお鉢巡りをしたことがありますが、特徴をおさえた上で、効果を100倍にしている感じがします。写真撮影の参考にはあまりなりませんが、名所案内としては魅力的に思いました。
【ArtFM 富士山で撮影した写真】

【マスプロ美術館】
〒470-0194
・愛知県日進市浅田町上納80 【map】
・TEL:052-804-6666
【開館時間】
・9:00~17:00(入館は閉館の30分前)
【休館日】
・土, 日, 祝日(開館日:マスプロ電工営業日)
【入館料】
・500円(一般)
・250円(学生)
【アクセス】
・名古屋市営地下鉄 鶴舞線 赤池駅より「くるりんばす 中央線(200円)」で約5分、「マスプロ美術館」下車すぐ
・赤池駅より「くるりんばす 西コース(100円)」に乗車、「マスプロ美術館」下車すぐ(所要時間不明)
※バスの本数は少ないので、Webサイトをよくご確認の上、ご利用下さい。
※私はバスを利用しましたが、徒歩でもそう遠くない様子です。googleマップによると、赤池駅より徒歩23分だそうです。

 「くるりんばす」の車内での1枚。「おつりは出ません」。両替して大丈夫なのか心配になりました。

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