山間部の更に奥、自然公園に位置する当館、
近所の高賀渓谷が水と緑の散策へ誘う。
当地は円空の入定決意の地で、
最後の作品「歓喜天」などが展示されている。
展示総数約30。
粗く、どこかコミカルで、着飾らぬ仏像たちに、
民衆の心にある身近で無邪気な神仏の姿を感じた。
/スグル
今回の1枚目は、根尾谷淡墨桜(ねおだに うすずみざくら)です。樹齢1500年以上(西暦574年生まれの聖徳太子より年上です)の桜の巨木で、散りぎわに特異の淡い墨色を帯びる為、薄墨桜と呼ばれています。円空記念館からは車で約1時間半の距離にあり、近所ではないのですが、同時に拝みたい場所として載せました。
円空記念館のお話しに戻ります。高賀橋です。
木曽川水系の一級河川 板取川(いたどりがわ)沿いをしばらく走った後、この橋を渡って記念館へ向かいます。この橋を渡ると、奥長良川県立自然公園(高賀自然公園 高賀癒しの郷(こうかいやしのさと))です。
ちなみにこの板取川、鮎の宝庫だそうです。
高賀橋の前の看板です。載せなくてもいいのですが、右下に大好きな「里中満智子」さんのお名前があり、載せることにしました。看板に書かれた「Chiyo」さん、おそらくは里中満智子さんが描いたのでしょう。なんだかうれしく思います。
蓮華峯寺(れんげぶじ)です。
高賀癒しの郷にはいくつかの見どころがあります。橋を渡って即現れるのは、一億年以上前の地層から水が汲み上げられている高賀神水庵(有料で持ち帰りが可能)で、次いでこの蓮華峯寺です。昭和40年代までは数多くの円空仏が安置されていました(現在は文化財収蔵庫・洞戸円空記念館に収蔵)。
蓮華峰寺の近くには、見どころのひとつ 高賀渓谷があります。
更に走ると、日本一幸世大鳥居(にほんいちしあわせおおとりい(だと思います))(高賀神社大鳥居)が目前に現れます。こちらの鳥居、石造り(御影石)の鳥居としては日本一のサイズだそうです。
高賀癒しの郷の最深部、高賀神社です。藤原高光の「妖魔退治伝説」のある高賀山の麓に位置し、「高光公とさるとらへび」の像が近くに立っています。
高賀神社の鳥居です。
その高賀神社のすぐ目の前(境内?)に円空記念館はあります。
自然に抱かれる、関市洞戸円空記念館(せきしほらどえんくうきねんかん)の建屋です。八角形をしています。所蔵は、円空をはじめとする高賀山ゆかりの仏像群です。
円空記念館のすぐそば、高賀川砂防公園よりの館の眺めです。
当館所蔵、円空「一本作り三像(善財童子・十一面観音・善女竜王)」です(※当画像はネットより拝借)。1本の木を縦に3分割し、それぞれ彫り出されています。そのため、十一面観音(高さ221.2cm)に抱かれる形で1本の木に戻すことが可能です。
やわらかさ、あたたかさ、あふれる優しさを感じる当作品、仏を遠い存在ではなく、身近に感じさせてくれます。なんでも、洪水で亡くした母を想い円空が彫ったのでは との事。円空仏は基本的に粗くも優しい姿なのですが、なかでもこちらは、私が今までに見た中で最も優しく慈愛に満ちたお顔をしていらっしゃいます。
円空「狛犬」です(※当画像はネットより拝借)。どこかコミカルで、悪がしこい感じさえします。イタズラ小僧ぶりに笑顔をもらえる作品です。
レポートには、これら円空仏について、「無邪気」という言葉を用いました。神仏に無「邪気」という言葉は変なように思いますが、素直にはそう思います。で、用いました。
また、「着飾らぬ」という言葉も用いました。通常仏像では、菩薩像などにみられる通り、着飾った姿も多く見られます。仏像は基本的には外の目を気にする”よそ行き”なお姿です。が、円空仏からは違った雰囲気を感じます。私から見ると、「寝間着姿」のような、素でリラックスした姿のようです。遠い存在ではなく身近に感じるのは、そのお姿からだと思っています。
当館所蔵、円空の最後の作品、「歓喜天」です(※当画像はネットより拝借)。
円空は、生涯に12万体に及ぶ仏像を彫った天台宗の修験僧です。約5000体ほどが今に伝わります。うち、70%弱が愛知県(3116体/4575体≒68.1%)、25%程(1106体/4575体≒24.2%)が岐阜県です(※パーセンテージは、館内の資料を元に私が計算したものです。正確かどうかは分かりません。Wikipediaによると「約5350体発見されている」とあります。)。
円空は出生地は諸説様々ですが、最後の地は関市で一致している様子です。調べたところによると、入定決意の地が当地 高賀で、関市池尻の弥勒寺で晩年を過ごし、長良川河畔で入定しました(1695年 64歳)。当館は、その生涯で生み出した12万体のうち、ただひとつの作品を拝む事のできる美術館です。
さて、ここからは根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら)について触れます。
円空記念館からの距離は前述の通り車で1時間半です。山間部を抜けるこの道程は、決して近いと言える長さではないのですが、景色は良く、自然を楽しみながら向かうことができました。
根尾谷の近くに現れる橋です。桜色をしています。満開時は白色との淡墨桜ですし、狙ってその色にしたかどうかは分かりません。
根尾谷淡墨桜です。淡墨公園内に腰を下ろしています(分かっていますよ、正しくは、淡墨桜が腰を下ろす地に公園が位置するという事を)。
私の訪問は花の散った後だったのですが、それはそれで、淡墨桜の懸命に腕を伸ばす真の姿を見ることができました。いつかはその花咲く姿も眺めてみたいものです。
【関市洞戸円空記念館(せきしほらど)】
〒501-2806
・岐阜県関市洞戸高賀1212番地 【map】
・TEL:0581-58-2814
【開館時間】
・9:00~16:30
※Webサイト上では閉館時間が17:00(入館は16:30まで)となっていますが、美術館のパンフレットでは16:30となっています。一応、16:30と考えておいたほうがいいでしょう。
【休館日】
・月曜日(祝日を除く)
・祝日の翌日(土・日・祝日を除く)
・年末年始(12月29日~1月3日)
【入館料】
・200円(一般)
【アクセス】
※パンフレットによると岐阜より数時間かけてバスで行く方法もあるようですが、是非に車で向かって下さい。所在地は上記の通りです。
【根尾谷淡墨桜(淡墨公園)】
・岐阜県本巣市根尾板所今村 【map】
・0581-38-2511
【アクセス】
・樽見鉄道 樽見駅から淡墨公園まで徒歩約15分
※円空記念館から淡墨公園まで、車で約1時間半です。
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